そのアルバムを見た友達の何人かから、わたしの結婚式でも、ぜひお願いね、なんてお願いされちゃいました。
親友の結婚式のアルバムを、親友のところに届ける前に、おじいちゃんに見せたのですが、
「上手に撮れてる。」
と、嬉しそうに褒めてくれたのです。
わたしが、自分と同じ趣味で、自分のカメラを大切にしてくれていると、喜んでくれたのでした。
お正月に、タイマーをセットして、おじいちゃんと振り袖姿で一緒に写真も撮りました。
そのあとくらいから、名古屋のおじいちゃんは調子が良くなくなったのです。
最初は風邪が悪化したのかと思い、原因がわからず、外科的なものが原因かと、外科も受診。
それから、歯が悪いからかと、歯科まで診てもらったのですが、それでも原因がわからず。
あまりに治らず、大きな病院で検査して、ようやく白血病だと判明したのでした。
それからみるみるおじいちゃんは弱っていくようでした。
お薬が効かず、そのうち話せなくなってしまったのです。
おじいちゃんと、最後に話したのは、この間の親友の結婚式のアルバムを見た別の友達から、またアルバムを頼まれたことでした。
名古屋のおじいちゃんは、
「一生に一度の結婚式は一番いいときだから、心を込めた写真を撮ってあげな。」
と、優しい顔で、ゆっくり話してくれました。
名古屋へなかなか行くことが出来ず、次にお見舞いに行ったときは、もう酸素マスクをして、全く反応もないように見えました。
それでも、一生懸命話しかけたのですが、2週間後、おじいちゃんは亡くなったのです。
おじいちゃんが服用していたのは、白血病の原因でもある白血球の数を減らすためのお薬。
お医者さんも、何故お薬が効かなかったのか不思議だとおっしゃっておられました。
今後の患者さんのためにも、と病院からの申し出の解剖を受けたのですが、約束の時間になってもおじいちゃんはなかなか帰ってこず、帰ってきたのは、予定時間を何時間も過ぎた夜だったのです。
家に帰りたがっていたおじいちゃんを思い、おじさんがとても怒っていた様子が、今でも胸を離れません。
おじいちゃんのお葬式の写真は、久しぶりに撮ったという、あのお正月の写真を使いました。
お葬式に来てくれた人が、皆、
「いい顔してる。」
と、言ってくれたのがうれしかったです。
おじいちゃん、ありがとう。 |